『方丈記』『徒然草』とZOOM

『方丈記』と『徒然草』 (放送大学教材) 作者:裕子, 島内 発売日: 2018/03/01 メディア: 単行本 徒然草第12段では、現実世界では、自分と語り合える心の友がいないと嘆く。第13段で、書物の世界で、心の渇きを癒す魂の会話を交わすことができ、解となっ…

出口治明『還暦からの底力』

還暦からの底力―歴史・人・旅に学ぶ生き方 (講談社現代新書) 作者:出口治明 発売日: 2020/05/20 メディア: Kindle版 私は還暦までまだまだあるが、楽しんで、ためになると思いながら読むことができた。 タイトルのとおり、年齢に関係なく、働き、勉強し、楽…

ヴィクトール・E・フランクル『夜と霧』

夜と霧 新版 作者:ヴィクトール・E・フランクル 発売日: 2014/11/07 メディア: Kindle版 読んだきっかけは、猫町倶楽部の読書会の課題本だったこと。 ナチス強制収容所の経験を記した本、という程度の基礎知識しかなかった。 読み始めて感じたのが、自分自…

努力か才能か

ニュータイプの時代 作者:山口 周 発売日: 2019/07/04 メディア: Kindle版 本書第5章13「自分の価値が高まるレイヤーで努力する」で、 「努力は報われるという命題はミスリーディング」と説く。「天才モーツァルトも努力していた」という命題から、論理的…

カミュ『ペスト』

ペスト(新潮文庫) 作者:カミュ 発売日: 2017/03/10 メディア: Kindle版 ペスト禍で町が封鎖されるという極限状況の中で、人は本性をあらわにする。自分の好きなことをしようとする人、この機会に一儲けしようとする人、何とかして町から逃げ出そうとする人…

ロナルド・H・コース『企業・市場・法』

企業・市場・法 (ちくま学芸文庫) 作者:コース,ロナルド・H. 発売日: 2020/02/11 メディア: 文庫 取引費用という概念を導入することで、企業・組織の成立理由を論じた「企業の本質」、法制度の効果を論じた「社会的費用の問題」を含め、名論文をまとめた本で…

『感染症』井上栄著

感染症 増補版 広がり方と防ぎ方 (中公新書) 作者:井上栄 発売日: 2020/04/28 メディア: Kindle版 本書のメインは、病原体の伝播経路、特にSARS、新型インフルエンザ、エイズの特徴・感染予防を説くことにある。補章で新型コロナが取り上げられている。…

疫病と世界史(上下合本) (中公文庫) 作者:ウィリアム・H・マクニール 発売日: 2020/04/24 メディア: Kindle版 人類の発展(行動変容)と感染症が、切っても切れない関係にあることを説く。 ホモサピエンスが誕生し、食物連鎖の最上位に立ち、地球上に広が…

『すらすら読める方丈記』中野孝次

すらすら読める方丈記 (講談社文庫) 作者:中野 孝次 発売日: 2012/10/16 メディア: 文庫 タイトルのとおり、すらすら読むことができる。 10年以内に、大火、辻風、遷都、飢饉、地震と天災と人災(?)が連続するさまを、リアルに描く。世捨て人の随筆と思…

『徒然草』島内裕子 校訂・訳

徒然草 (ちくま学芸文庫) 作者:島内 裕子 発売日: 2010/04/07 メディア: 文庫 校訂者の「訳」「評」が分かりやすく、通読しやすい。 吉田兼好は、高校で習った限りでは世捨て人という印象が強かったが、本書を通読し、払拭された。 限りある人生を、静かに出…

『不屈の棋士』大川慎太郎著で、未来のAI社会を考える

不屈の棋士 (講談社現代新書)作者: 大川慎太郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 2016/07/20メディア: 新書この商品を含むブログ (14件) を見る 将棋のプロ棋士11名へのインタビューで構成。将棋のプロ棋士がコンピューターに負けることが珍しくなくなってい…

人工知能と法身説法

人工知能は、現在多くの写真の中から、猫の写真を選べるようになった。「猫の特徴」を学んだからである。今後技術が進歩すると、人類が蓄積してきた大量の言語データから、人間を超える知識を獲得できるかもしれないそうだ。 人工知能が発展すると、人間と同…

「人工知能は人間を超えるか」松尾豊著

人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの (角川EPUB選書)作者: 松尾豊出版社/メーカー: KADOKAWA/中経出版発売日: 2015/03/11メディア: 単行本この商品を含むブログ (39件) を見る この本は、これまで読んだAI本の中で、最も分かりやす…

AIに関する本3冊

AIの衝撃 人工知能は人類の敵か (講談社現代新書)作者: 小林雅一出版社/メーカー: 講談社発売日: 2015/03/19メディア: 新書この商品を含むブログ (15件) を見るザ・セカンド・マシン・エイジ作者: エリック・ブリニョルフソン(Erik Brynjolfsson),アンドリュ…

「幸せになる勇気」岸見一郎・古賀史健著

幸せになる勇気――自己啓発の源流「アドラー」の教えII作者: 岸見一郎,古賀史健出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日: 2016/02/26メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (29件) を見る本書のキーワードは、「自立=自己中心からの脱却」「…

「道路の日本史」武部健一著

道路の日本史 - 古代駅路から高速道路へ (中公新書)作者: 武部 健一出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2015/05/22メディア: 新書この商品を含むブログ (9件) を見る書名どおり、古代から現代に至る日本の「道路」の歴史を描く。著者は高速道路建設に携わ…

インフラ投資是非は、冷静に議論すべし

超インフラ論 地方が甦る「四大交流圏」構想 (PHP新書)作者: 藤井聡出版社/メーカー: PHP研究所発売日: 2015/07/16メディア: 新書この商品を含むブログ (2件) を見る本書を読んで、「公共事業は無駄だからやるべきでない」という考え方は、単なるステレオタ…

ソクラテスは頑固な屁理屈親父

ソクラテスの弁明・クリトン (岩波文庫)作者: プラトン,久保勉出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1964メディア: 文庫購入: 15人 クリック: 512回この商品を含むブログ (119件) を見る本書前半の「ソクラテスの弁明」では、ソクラテスは、ああ言えばこう言い…

AIによって労働が不要になると・・・古代ギリシアから考える

AIの進化によって、近い将来、労働需要が奪われることが危惧されている。しかし、古代ギリシア人の「市民」たちは、労働を奴隷たちに任せ、哲学の議論に終始したという。同じように、労働をAIに任せ、人間たちは高踏な議論に集中できる、夢のような時代…

「ギリシア人の物語Ⅰ民主政のはじまり」塩野七生著

ギリシア人の物語I 民主政のはじまり作者: 塩野七生出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2015/12/18メディア: 単行本この商品を含むブログ (8件) を見るとてもおもしろかった!ギリシアの歴史について、これまで読んだ本は、政治制度と戦争と哲学が、お互いにど…

「働く女子の運命」濱口桂一郎著

働く女子の運命 ((文春新書))作者: 濱口桂一郎出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2015/12/18メディア: 新書この商品を含むブログ (10件) を見る 本書の特徴は徹頭徹尾日本型雇用という補助線を引いて、そこから論じたところにあります。・・・ですから、女性…

役に立たない本を読むということ

日経新聞9月13日(日)に「半歩遅れの読書術」欄で、玄田有史氏が、ある会社の30代人事部員との会話を取り上げている。玄田氏が「大学時代に勉強したことで、仕事に一番役立っているのは何だと思う?」と尋ねたところ、その人事部員は、「もしかしたら…

「維摩経講話」鎌田茂雄 サラリーマンの仏教

維摩経講話 (講談社学術文庫)作者: 鎌田茂雄出版社/メーカー: 講談社発売日: 1990/03/05メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 9回この商品を含むブログ (4件) を見る在家者である維摩が出家者の菩薩・声聞、ブッダの弟子たちを相手に説法をする物語である。在…

家事の有償労働化について

仕事と家族 - 日本はなぜ働きづらく、産みにくいのか (中公新書)作者: 筒井 淳也出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2015/05/22メディア: 新書この商品を含むブログ (39件) を見る 本書は、育児・介護等の福祉について、横(各国間比較)・縦(歴史的経緯…

「寺院消滅」鵜飼秀徳著

寺院消滅作者: 鵜飼秀徳出版社/メーカー: 日経BP社発売日: 2015/05/21メディア: 単行本この商品を含むブログ (17件) を見る地方の人口減少、地域コミュニティの崩壊、核家族化・「イエ」制度の崩壊によって、寺の経営が成り立たなくなっている姿をルポターシ…

今を大切に生きることについて

「今、この瞬間を大切に生きよう!」とは、よく言われることである。あるヨガの先生は、次のとおりおっしゃっていたそうだ。 多くの人は、過去にとらわれているか、将来のことを考えている。簡単ではないが、現在に意識を集中しよう。 同じことは、色々な本…

「荘子 内篇」 福永光司/興膳宏訳

荘子 内篇 (講談社学術文庫)作者: 福永光司出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/07/12メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 4回この商品を含むブログ (7件) を見る100分DE名著で強い印象を受けていたことと相まって、これまで読んできた諸子百家の本の中…

「岩波講座日本歴史第18巻 近現代4」

近現代4 (岩波講座 日本歴史 第18巻)作者: 大津透,桜井英治,藤井讓治,吉田裕,李成市出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2015/05/29メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る本書には、興味深い論文が多数載っていたが、今回は、高岡裕之氏による「…

「中国道教の展開」横手裕著

中国道教の展開 (世界史リブレット)作者: 横手裕出版社/メーカー: 山川出版社発売日: 2008/06/01メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (4件) を見る知識のない私は、道教とは老子の思想の発展したものくらいに思っていた。本書を読むと、それ…

「経済学の宇宙」岩井克人著 聞き手=前田裕之

経済学の宇宙作者: 岩井克人,前田裕之(聞き手)出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社発売日: 2015/04/25メディア: 単行本この商品を含むブログ (9件) を見る 本書は、岩井氏の自伝であり、岩井氏のこれまでの諸論文(不均衡動学、資本主義論、貨幣論、法人論…