カミュ『ペスト』

 

ペスト(新潮文庫)

ペスト(新潮文庫)

 

 ペスト禍で町が封鎖されるという極限状況の中で、人は本性をあらわにする。
自分の好きなことをしようとする人、
この機会に一儲けしようとする人、
何とかして町から逃げ出そうとする人・・・。
主人公のリウは、目の前の患者を救おうと、淡々と頑張っている。

今のコロナ禍は、本書とは状況が全く違うが、
「異常な状況」という点では、同じである。
そういう中で、どのような行動をとるか、一人ひとりが問われている。
私は、目の前のできることに取り組み、頑張りたいと思う。
アルベール・カミュ『ペスト』 2018年6月 (100分 de 名著)
 

 NHKの100分de名著のテキストも読んだ。

特に、第3章のキリスト教、倫理、ヒューマニズムに関する部分は、
いかに自分の読みが浅いかを痛感した。
一方で、第4章に、カミュのノーベル章授賞式時のスピーチについて、
「世界の悲惨のなかで自分にできることを日々誠実におこなう
無名の人々への愛があふれています」と紹介されているが、
「そのとおり!」と共感した。

なお、6月12日(金)に、猫町倶楽部という読書会にオンラインで参加した。
私は、「淡々とやるべきことをやるリウに共感を覚える」と言ったのに対し、
ある方は「自分の想いも表に出しつつ頑張る、タルーに共感する」と。
話は、本書の内容を超え、コロナの現在の話に広がっていった。
とても有意義な時間だった。