『方丈記』『徒然草』とZOOM

 

『方丈記』と『徒然草』 (放送大学教材)

『方丈記』と『徒然草』 (放送大学教材)

 

徒然草第12段では、現実世界では、自分と語り合える心の友がいないと嘆く。
第13段で、書物の世界で、心の渇きを癒す魂の会話を交わすことができ、解となっている。

しかし、方丈記の最終章は、「心、更に、答ふる事、なし」とある。
書物からでは答えは得られなかっただろう。
辛い憂き世を離れ、閑居生活を続けたら、行き詰ったということだ。

とても単純な話で、憂き世(現実生活)で、人間生活の中で、辛い経験をしながら、成果を出し教訓を得る。
孤独な閑居生活で、楽な生活をしながら、読書・思索し、考えを発酵させる。
どちらかではだめで、これを繰り返すしかないだろう。

昨今は、ZOOMを使ったサロン的なディスカッションが盛んである。
私も、読書会や、講演会の後のセッションに参加して楽しんでいる。
「ガチガチの現実」でもなく、「現実から遊離した閑居・読書生活」でもない、
真ん中の在り方である。ある程度興味関心が共通する人たちと、日常の利害関係に関係なく、双方向で議論をし、お互いを高めあうことができる。鴨長明の行き詰りを解決できるかも、と感じている。