2005-01-01から1年間の記事一覧

『昭和史七つの謎』保坂正康著 講談社文庫

昭和史七つの謎保阪 正康〔著〕膨大な調査量と豊かな洞察力に基づき、書名どおり昭和史の7つの謎を解き明かしていく。ここではそのうち、「第5話 なぜ陸軍の軍人だけが、東京裁判で絞首刑になったか?」を取り上げたい。要約を試みる。東京裁判は復讐であ…

『詭弁論理学』野崎昭弘著 中公新書

詭弁論理学野崎 昭弘著本書では数多くの詭弁が紹介されているが、そのうち「媒概念曖昧の虚偽」という詭弁は、お馴染みの「AはBである。BはCである。ゆえにAはCである。」という三段論法の使いつつ、Bを二通りの意味で使われる言葉を当て、おかしな結…

『瀬島龍三 参謀の昭和史』保坂正康著 文春文庫

瀬島竜三保阪 正康著瀬島龍三氏は、大本営参謀、シベリア抑留生活を経て、伊藤忠の会長まで昇りつめ、その後第2臨調の委員を務めた。本書には、各立場・場面ごとのエピソード、及び諸資料証言を駆使しての新事実(あるいは著者の推理)が数多く描かれている…

『真珠湾の日』半藤一利著 文春文庫

〈真珠湾〉の日半藤 一利著真珠湾攻撃に至る、日米両国の軍・政府内部や民間人たちの約2週間にわたる動向を、丹念に綴ったドキュメンタリーである。 対英米戦争は、国民が軍に抑圧された状態で起こされたという立場をとらない。国民の多くは、開戦のニュー…

『東大生はバカになったか』立花隆著 文藝春秋

東大生はバカになったか立花 隆著 大変エキセントリックな題名ではあるが、むしろ「知的亡国論+現代教養論」という副題の方が本書の内容を示していると思う。しかし、著者の危機感(及び出版社の商業的意図?)により、このような題名になったと推察する。 …

『希望格差社会』山田昌弘著 筑摩書房

希望格差社会山田 昌弘著 安定した社会が「リスク化」「二極化」によって不安定になり、「希望」に格差が生じ、不登校・凶悪犯罪の増加等、様々な問題が引き起こされる。これに対し、「自己責任強調」「懐古主義」いずれでも解決できないと指摘する。努力し…

『昭和史』半藤一利著 平凡社

昭和史半藤 一利著 満州事変から敗戦までを語り口調で分かりやすくまとめた通史である。知り合いへの個人講座的に語ったものをまとめたという形をとっており、すこぶる分かりやすい。「昭和史のシの字も知らない私たち世代のために、手ほどき的な授業をして…

『教養のためのブックガイド』小林康夫・山本康編

教養のためのブックガイド小林 康夫編 / 山本 泰編2005.3東京大学出版会 本書の目的は、「大学生を中心とした若い人に・・・できるだけたくさんのさまざまな種類のよい本を読んでもらいたい。・・・みずからの精神ないし人格を養うために本を詠む−そのような習慣を…

『古本極楽ガイド』岡崎武志著

古本極楽ガイド岡崎 武志著古本にまつわる様々な話が満載で、古本好きはもちろん、本好きの諸兄にとってたまらない一冊ではないだろうか。5千円の予算で均一台(奉仕品を並べるため、店の前に出されたワゴン・平台)を「攻め」、いかに収穫があったかを紹介…

『教養のすすめ』岡崎久彦著

教養のすすめ作者: 岡崎久彦出版社/メーカー: 青春出版社発売日: 2005/06/22メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る 「明治の人はいかに偉かったか」を書こうとしたことを発端に、西郷隆盛・勝海舟・福沢諭吉・陸奥宗光・安岡正篤という5人の人…

『働くということ』R・ドーア著

働くということ - グローバル化と労働の新しい意味 (中公新書)作者: ロナルド・ドーア出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2005/04/25メディア: 新書購入: 10人 クリック: 193回この商品を含むブログ (70件) を見る 本書のメインテーマは、「市場個人主義…

『モンゴル帝国の興亡』岡田英弘著 ちくま新書

モンゴル帝国の興亡 (ちくま新書)作者: 岡田英弘出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2001/10メディア: 新書 クリック: 3回この商品を含むブログ (9件) を見る チンギス・ハーンの誕生・ユーラシア大陸のほぼ全体の制覇から、モンゴル人民革命党の一党独裁の放…

『働きすぎの時代』森岡孝二著 岩波新書

過重労働の背景、及び解決への処方箋をコンパクトにまとめた一冊である。特に背景に関する記述に重点を置いている。 “背景”については、4つの点について述べている。1点目は「グローバル資本主義」、すなわち中国等の低賃金・長時間労働の国と競争している…

『14歳からの仕事道』玄田有史著 理論社

中学生を主なターゲットとし、「やりたいことが見つからない」「自分に向いている仕事がわからない」といった悩みを抱える中学生から大学生、卒業直後の若者までを対象に書かれた本である。 「そんなに個性的であることが社会で本当に求められているかという…