『古本極楽ガイド』岡崎武志著

古本極楽ガイド
岡崎 武志著
古本にまつわる様々な話が満載で、古本好きはもちろん、本好きの諸兄にとってたまらない一冊ではないだろうか。5千円の予算で均一台(奉仕品を並べるため、店の前に出されたワゴン・平台)を「攻め」、いかに収穫があったかを紹介する話。ベルギーの古本村ルデュに遠征した話。古書店主へのインタビュー集等々。最終章として、西日本新聞に連載されたコラムが収められているが、これまた著者が中学生の頃に古本に出会った話から、松本清張等の作家のエピソードといった様々な話が紹介されており、おもしろい。
文章も軽妙で、例えば、ベルギーの古本村ルデュにおばあさんが運転するタクシーに乗った時のことを「こんなおばあさんの運転で、今日中に着くのだろうなという不安は、エンジン音とともにただちに消え去った。70キロ制限の標識が、時速120キロの車窓からちぎれるように後ろへすっ飛んでいく。死を直視する20数分だった。しかし死を免れた行く先は天国に一番近い村だった。」なんて描く文章は、とても気に入った。
古本に興味を持たれている方には、ぜひお勧めしたい一冊である。