『教養のためのブックガイド』小林康夫・山本康編

教養のためのブックガイド
小林 康夫編 / 山本 泰編
2005.3東京大学出版会
本書の目的は、「大学生を中心とした若い人に・・・できるだけたくさんのさまざまな種類のよい本を読んでもらいたい。・・・みずからの精神ないし人格を養うために本を詠む−そのような習慣を若い人に身につけてもらうためのひとつのきっかけやうながしになること」である。
そのために、座談会、和漢洋の学者の推薦書や色々な分野の学者のエッセイといったさまざまなアプローチで本を推薦する。冊数にして3百冊位ではなかろうか。「ぼくはドイツの大学で勤めていたのですが・・・ぼくの専門は生命科学だけど、日本の文化は何かとか、神道と仏教はどう違うかとか・・・生命科学とは関係ないんですけども、このような対話を通じてはじめて彼らは対等につきあってくれる」というような文章を読むと大いに刺激される。一方で、読書が「私たちを個人的精神生活に目覚めさせるかわりに、それにとってかわろうとするとき、読書の役割は危険なものとなる」というマルセル・プルーストの文章を引用することにより、読書の魅力に溺れているだけではいけないと戒める。また、自然科学からのアプローチについてもしっかりおさえられていると思う。どこから読んでも知的好奇心を刺激される。
私はこの本のターゲットである若い人では決してないのだが、頭の中に読みたい本がどんどんリストアップされていく自分に閉口してしまった。このような本に「若い人」たちが刺激を受け、教養を高めていくことを希望するし。自分自身の教養も高めていかねばならないと私自身も大いに触発された。