『14歳からの仕事道』玄田有史著 理論社

dokushonikki2005-11-08

 中学生を主なターゲットとし、「やりたいことが見つからない」「自分に向いている仕事がわからない」といった悩みを抱える中学生から大学生、卒業直後の若者までを対象に書かれた本である。
 「そんなに個性的であることが社会で本当に求められているかというと、本音の部分では案外そうでもないようです」「大事なのは、自分もまだ知らない本当の自分の個性や専門性をいつか身に付けたいと思いつづけること、そのために行動し続けることだけです」などという記述は、とても誠実だし、働いている者の実感にもあう。「自分らしく生きよ」とか  「オンリーワンになれ」といった浮ついた言葉を並べられるより、はるかに実感にあうし、実際に若者に贈りたいメッセージだと思う。
 「本当にいちばんつらいのは、仕事をすると、自分の弱さや無力さがいやおうもなく自分自身に突きつけられることです」「私にとっては自分がいかにダメなのかに直面するチャンスがいちばんあることこそ、働くことの意味だと思います」といった記述は、30代も半ばの私自身の心にもじんじん染み込む。こうでも考えないと、仕事なんかやってられないし、また成長もできないと思う。
題名のとおり、14歳の中学生にも読んでほしいし、新入社員くらいまでの若者にも読んでほしい。さらには、単に私が幼いだけかもしれないが、日々の仕事に悩む、働き盛りの年代の諸兄にも、是非一読をお勧めしたい。