「ギリシア人の物語Ⅰ民主政のはじまり」塩野七生著

ギリシア人の物語I 民主政のはじまり

ギリシア人の物語I 民主政のはじまり

とてもおもしろかった!

ギリシアの歴史について、これまで読んだ本は、政治制度と戦争と哲学が、お互いにどのような歴史の流れで動いたのかがよく理解できなかったが、本書でよく理解できた。アテネの歴史を「ソロン、ペイシストラトスクレイステネステミストクレスペリクレスという五人が、バトンタッチをつづけながら走るリレー競技」と述べる文章を読んで、流れがよく分かるようになった。「僭主」「民主」等とロジックだけで物事を語るのでなく、個々の人間の言動をドラマチックに描くことで、歴史に息吹が吹き込まれている。そして、ペルシア戦争のくだりは、迫力満点である。

次巻以降で、どのような時代背景でソクラテス等の思想家が現れたのか、読めることを期待している。

そして、女性労働に関する、濱口氏と金子氏のやりとりを見ていると、どちらが良い悪いの問題でなく、物事を「個々の人間の言動」で描くのか、「ロジック」で描くのかの違いであると感じた。