人工知能と法身説法
人工知能は、現在多くの写真の中から、猫の写真を選べるようになった。「猫の特徴」を学んだからである。今後技術が進歩すると、人類が蓄積してきた大量の言語データから、人間を超える知識を獲得できるかもしれないそうだ。
人工知能が発展すると、人間と同じような概念を持ち、人間と同じような思考をし、人間と同じような自我や欲望を持つと考えられがちだが、実際はそうではない。
(中略)
人間がネコを認識するときに「目や耳の形」「ひげ」「全体の形状」「鳴き声」「毛の模様」「肉球のやわらかさ」などを「特徴量」として使っていたとしても、コンピューターはまったく別の「特徴量」からネコという概念をつかまえるかもしれない。人間がまだ言語化していない、あるいは認識していない「特徴量」をもってネコを見分ける人工知能があったとしても、それはそれでかまわない、というのが私の立場だ。
人工知能が上記のように発展し、かつ人間を超えるようになると、まるで密教における法身のようであると思った。ものすごい賢いが、ブラックボックス化した人工知能は、どういうプロセスで物事をとらえ、問題を解決しているか、人間には分からなくなるだろう。一方法身について言えば、本来は法身は人間に様々な形で語りかけているが(法身説法)、普通の人間(凡夫)にとっては、「秘密」に見え、気付かない。しかし、修行を積めば、その声を聞けるようになる。
人工知能が究極にまで発達すると、法身のような存在となるのかもしれない。
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