「道路の日本史」武部健一著

書名どおり、古代から現代に至る日本の「道路」の歴史を描く。

著者は高速道路建設に携わっていたが、東名高速道路建設時に、鎌倉〜江戸時代でなく、なぜか古代の遺跡が発掘されたと言う。古代律令制下の道路と現代の高速道路が同じ経路を通り、近世の街道と国道が同じ経路を通るという事実である。後者が地域性と便利性に基づきつくられたのに対し、前者は計画性と直進性に基づきつくられたからだと言う。
また、峠を越える道について、戦いという意味で安全なのが尾根沿いで、危険なのが沢沿いだと言う。そして、箱根超えの道について、江戸以前は尾根沿いだったが、江戸時代に、平和なのを反映し、沢沿いになったと言う。

上記は本書に描かれたエピソードのほんの一例だが、もっと「道路」に注目して歴史を見れば、おもしろいだろうと思った。