合理的に考えることの重要性

行動経済学―感情に揺れる経済心理 (中公新書)

行動経済学―感情に揺れる経済心理 (中公新書)

本書では、人間が合理的な判断ができない例として、「代表制ヒューリスティクス」をあげている。
たとえば、リンダは31歳、独身、話し好きで、社交的。大学時代は哲学を学び、差別や社会的問題について深い関心を持ち、反核運動にも参加していた。では、リンダとはどのような女性か?という質問について、以下3つの選択肢がある。

(1)リンダはフェミニスト運動家である。
(2)リンダは銀行窓口係である。
(3)リンダはフェミニスト運動家で銀行窓口係でもある。

カナダの大学生を対象に調査したところ、(2)より(3)の方が可能性が高いとした比率が、85%だったそうだ!つまり、人間は、論理的思考から判断しているのではなく、なにか強烈に心に残るイメージの残像にとらわれるように一番もっともらしいステレオタイプに影響されるのである。



道は開ける 新装版

道は開ける 新装版

一方、本書には、人間はどうしても合理的思考ができないという前提のもとで、以下記述がある。

記録を調べてみよう。そして、こう自問するのだ。平均値の法則によると、不安の種となっていることがらが実際に起こる確率はどのくらいだろうか。

自分も、他人も社会も、合理的には動いてはいない、という事実を、まずが受け入れた方がよいだろう。そして、まず自分は合理的に動く努力をし、問題や悩みを回避するよう、心がけるべきなのだろう。