法華経


法華経〈上〉 (岩波文庫)

法華経〈上〉 (岩波文庫)


法華経を読む (講談社学術文庫)

法華経を読む (講談社学術文庫)


なかなか中身も濃く、分量も少なくなかったが、読み通した。と言っても、まず「法華経を読む」で内容を理解したうえで、「法華経」の書き下し文を読むというスタイルである。「法華経」には、岩本裕氏によるサンスクリット語版からの和訳も付されており、鳩摩羅什の漢訳とは差異もあるようだが、読んでいない。岩本裕氏には申し訳ない。


一大叙事詩であり、私の力では、とても要約することはできない。「法華経を読む」の中で、特に気に入った文章を抜き出すこととする。

大地から湧き出した菩薩とは、他の世界からやってきた人ではなく、この大地から湧き出した人、すなわち、この現実の生活にあってさまざまな苦しみをした人、大地の生活を実際にしてきた人こそ、仏の教えを弘めるりっぱな資格をもつのである。

高踏的な活動をする人でなく、実社会で苦労し、努力している人こそが、菩薩となる資格があるというのは、何とも素晴らしい考え方である。

法華経の教えを信じることによって自然とその人の人格はりっぱとなり、顔も信仰からにじみでた温顔となる、態度も深い信仰に裏うちされて悠揚迫らざるものになる。このような信仰の力を獲得した人は、おのずと社会の人々からも信頼され、尊敬を受けられ、その結果として、社会的な名誉や物質的な富も得られるようになる。

この文章は、信仰の力を述べているのだろうが、私は、富や名誉を求めるのではなく、人間力を磨くことが肝要であり、名誉・富はあとからついてくる、と理解した。


法華経は、一回読んだだけではとても理解できないだろうし、ましてや体得することはできないだろう。何度も読み返し、かつ経験も積み重ねることで、人間力を磨いていきたいと思った。