「国民の文明史」中西輝政著

国民の文明史 (PHP文庫)

国民の文明史 (PHP文庫)

日本の歴史を、日本文明の基層で長期間に及ぶ「縄文」の期間と、混乱期に外来文明を取り入れ、換骨奪胎して自らのものとする「弥生」の期間の繰り返しであると説く。そして、この先日本が生き抜くためには、日本の文化・文明へのこだわりと、プラグマティズムの双方が必要と説く。著者の物凄い危機感を感じた。

那覇潤氏の「中国化する日本」では、日本の歴史を、時折「中国化」しようとする時期がありつつ、結局「江戸時代」に戻ると説くが、本書のほうが腹に落ちると感じた。

また、著者は、実証主義を相当批判しているようだ。歴史学会って、どういう状況なのかな。私は、歴史学において、ミクロ・マクロ双方の視点が必要だと思う。マクロのないミクロは、単なる趣味・お遊びでしかないし、ミクロのないマクロは、上滑りになってしまう。ただし、一人で双方を研究するのが理想としても、難しければ、分担するということもあるだろう。

いずれにせよ、日本の文化・文明について、もっと勉強しようと思った。