「観無量寿経」 佐藤春夫訳・注、石田充之解説
- 作者: 石田充之,佐藤春夫
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2015/01/07
- メディア: 文庫
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法事でよく耳にするお経だが、佐藤春夫の美しい訳を読むと、「こういうストーリーがあったのか」と驚きである。
前半は、息子が父王と母親を裏切り、その母親が釈迦に救いを求めるストーリー、後半は、釈迦に救われた母親の願いを聞き入れ、万民が救われる方法を釈迦が説くシーンである。
後半部分について、天台宗のように観察経典として解釈すべきか、浄土系のように称名念仏として解釈すべきかは、何とも言えなかった。しかし重要なことは、お経は、法事で読み上げられるためのつくられたのではなく、心の救いを求める人たちが、長い年月をかけて、つくりあげ、受け継いできたということだ。法事で読み上げられるのを聞くだけでは、誠に勿体ないと感じた。