「21世紀の資本」その2

本書で最も気になったのは、次の箇所だった(P.423)。これこそが、格差拡大・固定が望ましくない理由であると、私は感じた。

1910ー1920年生まれの世代について・・・歴史上初めて、・・・勉学、勤労、そして才能のほうが、相続よりも実入りがよくなったのだ。・・・ベビーブーマー・・・にとっても、・・・職業を通じた成功は、単に道徳的なだけでなく、収益性も高かったのだ。

ピケティは、これは2つの大戦から復興する際の急回復という、特殊な状況でしか起きない現象と言っていると、私は理解した。
だとすると、身も蓋もない話であり、「頑張れば報われる」という現象は、経済急成長の時期でしか起きないことになってしまう。ピケティが間違っているか、私の理解が間違っていればよいのだが。
(なお、これとは別に、「頑張れば報われる」という考え方が、受験戦争を招くとか、色々問題をはらんでいることは否定しない。)