「日本の年金」駒村康平著

日本の年金 (岩波新書)

日本の年金 (岩波新書)

国の制度としての年金について、体系的に学ぶことができる。
一方で、色々な要素が各所にちりばめられているので、筋を追うのが容易ではない*1が、日本の年金の課題・改革の方向性について、以下3点がポイントと理解した。

(1)年金の財政的安定性の確保
  漠然と心配するように、「保険料を払ったのに、年金が貰えない」ということはなさそうであることが分かる*2。一方で、改革は急務であり、デフレ期でのマクロ経済スライドの発動、厚生年金加入資格の拡大、加入期間の増加が提示されている。

(2)働き方に中立的な制度
(3)最低生活保障の確保
  国民年金保険料は定額なので、所得に対し逆進的である。厚生年金に加入できない、いわゆる非正規雇用者の増加が、未納者を増やす原因と言う。また、生活保護者のうち、十分な年金を受給していない高齢者の占める割合が多いと言う。このまま未納者が増えると、将来十分な年金を受給できないので、年金財政には影響を与えないが、生活保護者が増えることにつながると言う。

上記以外にも、今の制度となった歴史的経緯、積立方式に移行した国もあるが、コストがかかりすぎ、賦課方式に戻していること、民主党政権での年金改革案は、内容としてはよいが、移行の仕方を検討する手間を惜しんだために失敗したこと、等が述べられている。

私は、年金について本書で初めて勉強したという感じであり、批評する立場にない。もっと勉強したいと思う。

*1:ディズニーシー/ランドで並んでいる際に読んだので、理解力が落ちていることは否定できない。

*2:上記と同様。華やかな雰囲気の中で、楽観的な読み方をしているかも。