日本の労働時間が長い理由

まずは、一世を風靡したこの本の中から。

マッコールの理論は、彼らが「なぜ」最高の人材なのかという、因果的説明を与えてくれる。それは彼らが人より優れたスキルをもって生まれたからではない。むしろ、仕事での適切な経験をとおして、大きな利害のかかった状況で挫折や極度のストレスに対処する方法を学び、優れたスキルを磨いてきたからなのだ。

著者のクリステンセン氏は、自身の会社経営者時代に、生産担当副社長の採用に失敗したエピソードを挙げる。大企業で大組織を統括しているA氏と、家族経営企業で新規事業立ち上げの経験のあるB氏が候補になり、A氏を選んで失敗したという事例である。そして子育ての話に及ぶ。

子どもが困難な状況に陥ると、わたしたちはただもう本能的に手をさしのべようとする。だが子どもは難題に向きあい、ときに失敗することがなければ、困難から立ち直る力という、生涯を通じて必要になる能力を養うことはできない。

この文章の「子ども」を「部下」「後輩」に入れ替えれば、そのまま企業における人材育成法となる。部下を育成するには、仕事を通じて経験させ、時には失敗させることが必要である。一方で、期限内に一定の成果を出す必要もある。このような仕事の仕方をしていれば、時間がかかるに決まっている。
このような状況で、時間がかからないようにするには、どうすればよいか?上司が部下に対し、「最初にこれをして、次にあれをして、最後にそれをすれば、失敗せずにできるぞ」と、いちいちマニュアル的に指導すればよいだろう。しかし、それでは人材育成を放棄するということになる。MBAかどこかで、ケーススタディで疑似失敗体験をした人材を採用してくるしかないのだろうか。
一体、どうすればよいのでしょうか?