中世を勉強する意義 その2
「hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)」で、原口さんが日本中世について、以下のとおりコメントされていました。
ただ惜しむらくは、日本中世の記述に関しては「いやいや、ちょっとちょっと、」なので、アランさん、もしこのコメントご覧で日本中世に興味ありましたら、巻末の特別対談の中で宇野氏が取り上げた、本郷和人さんの一連の著作をおすすめしときますよー
與那覇氏の「中国化する日本」では、日本中世について、日本中世史の通説(?)である「権門体制論」に沿って書かれています。「権門体制論」とは、「天皇家のもと、公家・寺家・武家等が支配層を形成し、相互補完しながら民衆を支配する体制」と理解しています。これについて、原口さんご紹介の本郷和人氏は、以下のとおりおっしゃっています。(我が家には、本郷和人氏の関わった本は、これしかありませんでした)
- 作者: 五味文彦,佐藤信
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・相互補完を強調すると、公家や武家や、武家と寺家など、権門相互の差異が見えにくくなるのではないか
・やはり私は武家をもっと重視したい。日本はこののち明治維新まで、武家の政権が続く。・・・幕府の開設をもっと評価し・・・
そして桜井栄治氏は、権門体制論について、以下のとおりおっしゃっています。
- 作者: 桜井英治,本郷恵子,川合康,高橋典幸,鎌倉佐保,高橋修,鈴木哲雄,上島享,坂井孝一,大津透,藤井讓治,吉田裕,李成市
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・理論を生むのに必要な渇きが足りない
・権門体制論の一人勝ち
・同理論が主張するほど武士や幕府の地位を過小評価してよいのか
権門体制論に対する反発は、学会にもあるようですね。私にとっての「中世史を勉強する意義」、上記引用で言うところの「渇き」は、以下の2つのことを知りたいということです。
1.日本が「江戸時代」「メンバーシップ型社会」になったのはいつからか。文字通り江戸時代からなのか、中世からなのか。この議論と権門体制論は関係あるか否か。
どこで読んだか忘れましたが、藤原氏が摂政・関白になる根拠が、最初は天皇外戚であることだったのが、嫡流であることに変わったと読んだ覚えがあります。つまり権力層がメンバーシップ型に移行したということでしょう。時を経て、江戸時代の農村はメンバーシップ型になっています。もちろん、現代の会社もメンバーシップ型です。どういう時代の移り変わりがあったのか、勉強したいと思います。
2.今後グローバル化が進展し、国家の力が弱まった場合、どのように生き抜けばよいか。
ヨーロッパ中世は、明らかに国家の力は弱かった(そもそもなかった?)と思います。日本はどうだったか、「国家の力が弱かった」時代があったかすらも、私にはよく分かりません。
いずれにせよ、私の勉強量が足りなさすぎますし、既にこういった研究等があるのかもしれません。もっと研鑽を積みたいと思います。